1972年 天草生まれ。
1991年 唐津「隆太窯」で陶芸の修行を始める。中里隆氏に師事。
1995年 天草「丸尾焼」で修行。
2002年 天草本町に「朝虹窯」として工房と窯を築く。
10年前に独立して開窯したばかりの頃は、毎日が日曜日みたいな感覚でね。すごい開放感があったんです。そのせいか、その頃の器には遊び心を効かせたものが多いんですよ。
振り返ってみれば、ここ数年は「いろんな人に喜んでもらえる器」「多くの人が使いやすい器」をテーマに焼き物と向き合ってきましたが、遊び心いっぱいの面白いものもやっぱり好きだなぁって。
だから、2015年初の個展のテーマは「遊び初め」。
形の面白いモノと使いやすいシンプルなモノとを極端に組み合わせて、神楽坂のギャラリー&カフェ 帝(MIKADO)を楽しい空間にしようと思っています。いろいろな形、いろいろな大きさ、いろいろな質感が入り混じる、にぎやかで楽しいギャラリー。
きっとワクワクしてもらえるものになると思うんです。
今回こだわっている“遊び”の一つが、「形」の面白さです。
例えば個展に出品している「目出鯛皿」は、お正月のめでたい象徴として鯛の形にしながら、裏から見ると長寿のモチーフである亀の形になっています。
実は、今回の個展では魚形の作品をいくつか出品していますが、魚と僕の名前の間には、不思議なご縁があるんです。
「余」という文字は、中国では「余る=ゆとりがある、富がある」という意味があり、とても縁起のいいものとされています。ユイと発音するのですが、「魚」もユイと読むことから、「魚」も「余」の文字と同様、縁起のいいものと考えられているらしくて。それを知ってから、魚とは何だかご縁があるような気がしています。
名前負けしないようにがんばらないといけないですけど(笑)。
オブジェの形を、飼っていた愛犬・ラブラドールをイメージした形にしてみたり、焼きの段階で金色の筋が入った器に「金糸雀(カナリヤ)」という名前をつけたりと、動物をモチーフにした作品が多いですね。器の形そのものにこだわるだけでなく、菊皿の花弁を細くしてモダンな印象に仕上げてみたり、模様を一つひとつ手で削ることで味わいを出したり。
とにかく「目を楽しませる」形になるようにと、細部にまでこだわってつくったものばかり。
ぜひギャラリーでの動物探し、楽しんでもらいたいです。
東京は神楽坂、そして京都の祇園で皆さまにお会いできることを愉しみにしています。